●常滑焼につきまして。


愛知県常滑市の焼きものです。

しかし全国の陶器を見ようと思うと、茶の湯の世界とは切っても切り離せないものがたくさんあります。

常滑焼の肌合いいにはすべすべとした手ざわりの急須類と、ざっくりとした土味を残す壺や花器などの2種類があります。


常滑焼の代表作と言われる「朱泥(しゅでい)」の茶褐色の急須は、陶土にベニガラという酸化鉄を混ぜて焼き締めた無釉陶器です。

全国の陶器の中でもこの赤い急須を見れば「常滑焼」と分かるほど特徴的なものですが、これはなめらかな手ざわりが魅力で、長く使い込むうちに艶が出てきます。

いっぽうのざっくりとした手ざわりの壺などは、常滑周辺から出土する鉄分を多く含んだ山土などで焼かれたものです。

常滑焼の器は焼き締めが中心で、大半のものは釉薬を掛けていません。

しかし中にはしぶい緑色をした釉薬が肩口から流れている壺などもあります。

これは燃料となる薪の灰が窯の中で溶け、焼き物に付着して釉薬へと変化したもので、自然釉と呼ばれます。

草木の灰を利用した灰釉も、自然釉と同じ風合いを引き出す効果があります。


茶褐色が特徴の常滑焼き
    茶褐色が特徴の常滑焼き